こんにちは あるいは こんばんは。
Hさん(39歳)から、「貯蓄などについて何とかしたいですが、より良い方法はないでしょうか。分からない分野のため、はっきり、スパッとアドバイスが欲しい」という相談を受けました。また、話を伺っていくと、株とかを買うのではなく、できる限りほったらかしでもできるものを望んでいるようでした。
なお、Hさんは以前ブログで紹介したIさんの同僚のため、同じ福利厚生制度も利用しています。
運用の相談を受けた - ゼロから始めるほったらかし運用生活+
-----------Hさんの家族及び家計の大まかな状況-----------
・奥さんは現在、子育てのためパート的な仕事で課税所得230万。社員に戻り、老後まで働く予定。しかし、運用に興味はなく、保険なども全て旦那さん任せ
・1番上の子どもは10歳で教育資金をあまり貯めることができていなく心配
・残り二人の子どもは学資保険で教育資金を貯めている
・家計の支払いの中心は楽天
・住宅ローン減税適用を終えたばかりで、まだまだ住宅ローンが残っている
-----------貯蓄・運用状況(年間の掛け金)-----------
財形A:年20万
生命保険控除適用(年5万円分まで)、年1.2%の利回り、老後まで引き出し不可、原本割れしない
財形B:なし
個人年金保険控除適用(年5万円分まで)、年1.2%の利回り、途中・一部引出し可能、原本割れしない
財形C:年4万・・・所得控除、年1.2%の利回り、老後まで引き出し不可、400万円まで積立可能、原本割れしない
グループ保険積立:年12万
年1.2%の利回り、途中・一部引出し可能、原本割れしない
信用組合積立:年32万
年0.2%の利回り、途中・一部引出し可能、原本割れしない
信用組合財形:22万
年0.2%の利回り、老後まで引き出し不可、原本割れしない
貯蓄型生命保険:13万
※奥さんに生命保険をかけていますが、生命保険と運用が一体となった商品で、生命保険用ではなく、一番上のお子さんの教育資金用にしている。シンプルな利回り計算ができませんが、20年の長期としても年間の利回り1%は超えません。
学資保険A1:28万
17年間480万を積み立て、5年間寝かせて、525万で戻ってくる。
学資保険A2:14万
14年間192万を積み立て、5年間寝かせて、205万で戻ってくる
※厳密には違いますが、共におおよそ年0.6%の利回り。兄弟割引適用後の掛け金。2番めと3番目のお子さんの教育資金用。保険の書類を見ると、病院・通院に対しても何らかの補助があるようですが、今までお子さんが何度か怪我をしてもその制度を利用したことは一度もないとのことです。
計145万円を毎年運用している計算になります。
話していく中で、結構な額の生命保険と医療保険にも加入していることが分かりました。また、チャンクを解いていくと、一番の心配しているのは教育資金であることが分かります。
保険に関しては、考え方、生き方にも関連してくるため、あまり踏み込みたくはありませんが、運用の側面からの別途参考事例について紹介しました。
-----------提案1-----------
できる限りお金を減らしたくない、堅実でいて、税制控除などを最大限受け取るためのりバランス
財形A:5万
財形B:68万
財形C:4万そのまま
グループ保険:12万そのまま
信金積立:解約
信金財形:解約
生命保険:解約
学資保険A1:28万そのまま
学資保険A2:14万そのまま
iDeCo:14〜28万(本人用)
毎年の積立金、計145万円そのまま
年間の運用金額を変更せずにリバランスしました。まず優先すべきポイントは、
・財形Bの積立を始め、税制控除適用を受ける
・iDeCoを始めて税制控除適用を受ける。ただし、iDeCoの商品のほとんどは株の福袋セットのため減ることがありえ、老後まで引き出せないデメリットもある。ただし、それ以上にメリットが大きい
・信金積立、信金財形、貯蓄型生命保険の3つを解約し、その分の資金を財形BとiDeCoに充てる。ただし、貯蓄型生命保険は、今解約すると大きく原本割れするため要検討。どちらにしろ、一番上のお子さん用に資金を運用する必要がある
-----------提案2-----------
ほったらかしで堅実だけど、少し提案1よりもリスクを取れる場合
財形A:5万
財形B:48万
財形C:4万そのまま
グループ保険:解約
信金積立:解約
信金財形:解約
生命保険:解約
学資保険A1:解約
学資保険A2:解約
iDeCo:28〜56万(本人・奥さん合わせて)
NISAの活用:楽天証券の投資信託定期積立(商品はVTI):60万円
毎年の積立金、計145万円そのまま
提案1との差異とポイントは以下です。
・奥さんが今後も収入を見込めそうなため、節税効果の大きいiDeCoの利用
奥さんの収入が増加することで教育資金も集めやすくなり、さらに奥さんの所得税率が上がることを考えると、iDeCoの効果は高い。
・お子さんの教育資金は、財形Bと、投資信託積立で対応する
※投資信託も減る可能性はありますが、楽天証券は現在、毎月5万円まで1%分のポイントバックがあり、そのポイントもそのまま投資できます。私の楽天口座を例として紹介します。
上記は、毎月5万円(うち500円分はポイント投資のため実際は49,500円)を積み立てて、500ポイントをもらっている画像です。始めは特定口座で取引していましたが、途中からNISA口座に変更しています。一度設定すると、1,2年に一度見直すくらいで良いでしょう。これだけで、通常の投資信託よりも、利回りが、さらにプラス1.01%となります。
さらに、Hさんは元々、生活費の多くを楽天で賄っているため、すぐに始めることができ、ポイントアップなどの特典も見込めるかもしれません。
NISAの始め方、失敗の仕方の例は以下です。
ゼロから始めるほったらかし運用生活 〜実践編〜 - ゼロから始めるほったらかし運用生活+
-----------提案1・2の共通ポイント-----------
できるだけシンプルなリバランスを提案しました。大きなポイントは4つです。
ポイント1:財形Bを最大限利用
まずは財形Bに5万円以上積み立てること。Hさんの源泉徴収票や給与明細などもほぼすべて見せてもらいましたが(笑)、現在の年間生命保険料控除が7万円であり、あと5万円分の控除可能額が残っています。また、財形Bは、原本保証・利回り1.2%・引出し可と、堅実なものの中で最も良い運用方法です(高い利回りを求めないという条件)。そのため、財形Bに積み立てることはもちろん、めんどくさければ、運用のほとんどを財形Bで積み立てることがシンプルであり、面倒な手続きもありません。
ポイント2:iDeCoの活用
前回も紹介しましたが、以下の記事も読んでいただけると、アクセスが増え嬉しいです。
ゼロから始めるIDECO - ゼロから始めるほったらかし運用生活+
質問「iDeCoについて教えて」に回答した - ゼロから始めるほったらかし運用生活+
iDeCoの商品選択 - ゼロから始めるほったらかし運用生活+
ポイント3:利回りの低い保険などの解約
これを機に、生命保険や医療保険なども見直してみてください。おそらくHさんが今交通事故でなくなれば、1億円をゆうに超える保険料がおります。生命保険以外にも、いくつかの財形などの貯蓄は積立金が数倍で戻ってくる分、共済・遺族年金・団信の保険分など、おそらく多くのものがあるでしょう。その分を教育資金とします。この場合、教育資金としていますが、万が一の事故・病気の際も利用することのできる自由度の高い貯蓄となると思います。
ポイント4:老後しか引き出せない貯蓄を減らす
財形A、C、信金財形といった、老後しか引き出せない商品に対する積立額を減らしました。Hさん、奥さんともに一定の退職金を見込めることもそうですが、今まず必要なのは、教育資金を主とした、一番上のお子さん用に1、4、7年後などにも「使うことのできるまとまったお金」だと思います。そのため、途中引出しが可能な、汎用性のある商品への運用割合を高めています。
-----------何円、未来が変わるのか-----------
Hさんの現在の運用と、提案1・2で20年後どのくらい差が出るのか計算します。NISAなどの制度も続くものとして、おおよその利回りに税制控除分も含めます。
・現在のままだと、おおよその利回り0.4%だとして、
毎年145万円積み立てると20年後に「3000万円」
・提案1の場合、おおよその利回り1.5%だとして、
毎年145万円積み立てると20年後に3350万円
上記に現状よりも受け取れる税制控除76万円の「計3430万円」
・提案2の場合、おおよその利回り4.0%だとして、
毎年145万円積み立てると20年後に4380万円
上記に現状よりも受け取れる税制控除188円の「計4560万円」
推定でしかありませんが、リバランスすることで、20年後に400万円から1500万円くらいの差がつくでしょう。もちろん、提案2はその分少しのリスクもあることを忘れないで下さい。
IさんHさんの会社の方から他にも数名相談を受けています。なぜか皆さん、財形Bに積み立てていません。全員に話を聞くと、
「入社時によく分からないまま、紙に書いた(契約した)。」
とのことでした。