こんにちはあるいはこんばんは。
202X 金融資産消滅(2020/2/27※) 著:近藤駿介
を読みました。
https://www.amazon.co.jp/近藤駿介/e/B00DUT8OPG/ref=dp_byline_cont_book_1
※アマゾンではこの日付ですが、書籍の発行は2020年3月10日となっています。
当ブログはアフィリエイトも何も実施していません。興味のある方は、遠慮なくリンクから、出版業界へ投資して(本を買って)下さい。笑
著者の近藤氏のTwitterの投稿600件の単語をAIで図にすると、以下になります。
お金にまつわる投稿が多いのが分かりますね。
そんな著書の今回の作品は、世界最大の投資機関家GPIFに関連する注意喚起が中心となっており、ほったらかし投資の抜本的考えに対して大きな刺激となる内容でした。
(この本、読むのに時間がかかりました、、、)
この285ページを一文にすると、
「162兆円の年金を管理・運用しているGPIFが、早ければ2020年から、持ち株などを売却し、年金資金にあてる可能性があるので、個人投資家は資産形成に要注意」
となります。
それでは、中身を見ていきましょう。
○第1章 作り出されたアベノミクス相場
2006年に設立されたGPIFは、2012年の政権交代などのための人口的に作られた投資の太陽である。安倍総理大臣と、日銀の黒田総裁により、政府と日銀の連携が強固なものとなり、大胆な金融緩和という政策を推し進めた。例として、日銀は、流通するお金の量を当時の10倍以上である年間50兆円増やした(量的緩和)。さらに、国債に加えて年間1兆円ものETF(上場投資信託)を購入した。それにより、日本では、ETFの運用資産の7,8割を日銀が保有している。
結果、アベノミクスは、大きく円安・株高にすることができた。
○第2章 世界最大の機関投資家GPIFとは何だ
GPIFは、公務員の共済年金を除いたサラリーマンや個人事業主などの公的年金を管理運用する機関であり、2019年6月現在162兆円と、同時期の国家予算103兆円を上回る大規模なもので、安倍総理がたびたび
「世界最大の投資機関家」
と豪語しているほどの巨大な運用資産を持つ機関である。
○第3章 GPIFの資産運用の問題点
評価益を実現益に変えることはできないこと、GPIFの運用方針は運用経験のない専門家が決めていることなどが問題点としてある。運用方針を決めている人達は制度の専門家であり、運用に関しては素人。そのため、2012年6月のAIJ投資顧問の虚偽報告を見抜けなかった。
○第4章 早かれば2020年からGPIFは売手に回る?
日本の公的年金給付額は年間50兆円である。年金制度自体は100年安心なのかもしれないが、年金財政という点では、金融的に破綻している。証の一つに、2019年の財政検証で所得代替率が楽観的な見通しでも2割程度低下する可能性が示されたことがある。
それをGPIFの運用で救うことは不可能。GPIFの積立金は年金財政に占める割合は10%にすぎなく、GPIFの管理運用額は年金給付額の3年分程度にすぎないため。したがって、GPIFが売手に変身することは決まっている。
※所得代替率:将来受け取れる年金額の目安
○第5章 投資の常識は非常識
販売会社によって流される「投資の常識」が多い。
例として、ドルコスト平均法があり、これはノーベルセールストーク賞である。ドルコスト平均法は、「平均買付価格を下げる効果」をもたらす投資手法であり、老後に必要な金融資産を作るわけではない。
ドルコスト平均法のデメリットとして、
・短期的なキャピタルゲイン狙いには適さない
・定期的で継続的な投資では手数料負担が積み上がる
・安値の時に大量買いができない
・大負けはしないが大勝ちもできない
などが指摘されている。しかし。本当のドルコスト平均法の本質的なリスクは、「ゴールに(たとえば60歳、65歳など)に近づけば近づくほど積立資産は価格変動リスクの影響を強く受けるようになっていく」ということ。
○第6章 「世界最大の売手」が出現する中での資産形成
では、どうすべきか。まず、「貯蓄」から始めよ。
○おわりに。「203x年。東京。 」
2020年から「投資から貯蓄へ」を実行した。そして、不動産投資で稼いだ。2030年頃から、稼いだキャッシュで米国株投資を始めた。2040年過ぎから、米国株を売却していく。
といった内容でした。
ほったらかし投資を推奨する当ブログにとっては、致命的な指摘もあり、とても勉強になりました。
特に、厚生労働省の将来の公的年金の財政見通し(財政検証)を独自分析している点、日銀・GPIF・東京証券取引所データなどをまとめて図や表にしている点など、日本の投資に関して広い視点で分析・まとめている点は、分析手法としても参考になりました。