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GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析

こんにちはあるいはこんばんは。

 

 

先日、昔の教え子とお酒を飲んできました。当時初めて受け持った小学3年生のクラス。あれから10年以上経ち、感慨深いものでした。家族、健康、お金のことだけではなく、再度将来を考える良い機会にもなりました。

 

 

 

今回は、私達の年金150兆円を運用・管理しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、「GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」レポートを刊行したので、簡単に紹介します。

https://www.gpif.go.jp/investment/GPIF_ESGReport_FY2019_EX_J.pdf

図や文章の一部は、上記のレポートを引用しています。

 

 

本レポートは、ESGに則ってのチャンスやリスクの話となります。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉であり、この三つの観点から企業を分析して投資する「ESG投資」が注目されています。

以前にブログで紹介した書籍がESGに関しての雰囲気を掴みやすいと思います。

書籍「日経BP総研2030展望 ビジネスを変える 100のブルーオーシャン」を読んだ - ゼロから始めるほったらかし運用生活+

 

 

 

なお、このレポートは直接的には GPIF ポー トフォリオに与える影響を分析したものですが、GPIF が国内の上場企業のみならず、海外の主要企業に幅広く投資を行うユニバーサル・オーナーであることから、日本企業全体、海外企業全体、ひいては世界の国々が気候変動に関連して、どういう課題やリスクを抱えているのか、逆に課題解決のために必要とされる技術にどれだけの価値があり、ビジネスチャンスが生まれるのかについてまとめたものだそうです。

 

 

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○ CVaR分析

CVaR( Climate VaR という分析手法の略語) は、(1)政策リスク、(2)技術的機会、(3)物理的リスクと機会、について企業価値(証券価値)に与える影 響という同じ尺度で分析ができる。CVaR は企業ごとのほか、企業が発行する株式・債券(社債)ごとに算出することが可能であり、国内株と外国株のセクター毎のCVaRは以下である。

 

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国内の技術的機会をセクター別にみると、一般に環境負荷が大きいセクターとされるエネルギー(135.4%) 、次いで、公益事業(69.9%)、一般消費財・サービス(61.8%)、素材(60.0%) の機会の大きさが目立つ。これらのセクターでは、技術的機会と政策リスクとを合算した移行リスクもプラスになっており、世界が 2°C目標の達成に向けての取組みを進めることで、政策変更による企業価値下押し圧力以上に、技術的機 会による企業価値増加の可能性が高いことが示されている。

 

 

 

○ CVaRの政策リスク分析

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国内、外国株式問わず、「エネルギー」「公益事業」「素材」セクターは高リスクなのが見て分かる。

 

 

 

○ CVaRの技術的機会

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国内株式では「自動車」のスコアが突出して高くなっている。これは、自動車メー カーの環境関連の技術力が高いことに加えて、国内株式において、自動車セクターのウエイトは高く、GPIF ポートフォリオでも自動車メーカーへの投資比率が大きいことも影響している。一方、外国株式では「自動車」に比べて、「航空機」、 「情報技術」のスコアが高くなっている。

 

※実際、以下に示す8月に当ブログにした記事でも、GPIF保有トヨタ株評価額はダントツでした。 GPIF運用成績 - ゼロから始めるほったらかし運用生活+

 

 

 

 

○ その他

温室効果ガス排出についての企業の情報開示(2019年度)について、企業数でみた開示比率は、外国債券(55%)、国内債券(54%)、外国株式(52%)、国内株 式(12%)の順。企業の保有価値でウエイト付けした開示比率は、外国株式(78%)、外国債券(70%)、 国内債券(64%)、国内株式(62%)の順。企業数でみた場合より開示比率が大幅に高まるのは、時価総額 が大きい企業ほど情報開示が進んでいるため。

 

・世界的に気温 が上昇するなか、インド北部など極めて局所的には猛暑日が減少することが予想されており、同国の石油 精製事業では生産性向上などが一部見込まれている。

 

・海面上昇リスクへのエクスポージャが最も大きいのは、オランダ(58.5%)です。次いで、日本、ベルギー、 インドネシア、イタリア、英国である。

 ※ただし、海面上 昇リスクへのエクスポージャのデータは、総人口に占める海抜 5 メートル以下の居住人口の割合であり、防 波堤や護岸工事といった海面上昇への各種対策を加味したものではない。

 

・気候変動に関連した自然災害リス クへのエクスポージャ(気候変動に関連した自然災害による 10 万人当たりの死者数)が大きいのは、ベル ギー(68.0 人)、フランス(38.4 人)、オランダ(36.2 人)、ポーランド(7.5 人)の順である。

 

・農業生産変動リスク(経済全体に与える影響)への エクスポ―ジャを国別にみると、インドネシアやマレーシア、ブラジルなど新興国の水準が高い一方で、米国 や日本などの先進国ではリスクへのエクスポ―ジャが小さい。

 

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こういったレポートも、投資へのチャンスの一つとしたいですね。