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「働き方5.0―これからの世界をつくる仲間たちへ」を読んだ

こんにちはあるいはこんばんは。

 

番外編です。

投資には直接関係ありませんが、面白かった書籍を紹介します。

 

 

働き方5.0―これからの世界をつくる仲間たちへ

 落合 陽一【著】

 小学館(2020/06発売)

働き方5.0 / 落合 陽一【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

を読みました。

 

落合氏は、メディアアーティスト。1987年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。筑波大学准教授・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤代表・JST CRESTxDiversityプロジェクト研究代表。専門はHCIおよび知能化技術を用いた応用領域の探求。筑波大学学長補佐、内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員などを歴任。オンラインサロン「落合陽一塾」主宰。

 

 

 

目次と気なった部分を紹介します。

 

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プロローグ 「魔法をかける人」になるか、「魔法をかけられる人」になるか(テクノロジーによって再生産される格差、超人類、そして貧困;デジタル計算機が生まれて80年、世界は「魔法」に包まれた ほか)


第1章 人はやがてロボットとして生きる?(力ずくでなんとかなるものはすべてシステムにやられる;「クラウドソーシング」後の世界の変遷 ほか)

 

第2章 いまを戦うために知るべき「時代性」(近代の「脱魔術化」とは何か;21世紀は「再魔術化」の時代 ほか)


第3章 「天才」ではない、「変態」だ(「変態」の将来は明るい;仕組みを考えながら好奇心を満たす ほか)


エピローグ エジソンはメディアアーティストだと思う(社会に自分の価値を認めさせる;人間とコンピュータが親和した先に生まれる文化 ほか)

 

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●プロローグ
よく研究室の学生に言う。
「ガッツはレッドオーシャンだから、そこで勝負しても無駄だよ。」

競合相手がいない青い海をブルーオーシャンと呼びますが、レッドオーシャンは血で血を洗うような競争の激しい領域のこと。ガッツがあるのは当然の前提だから、それをアピールしても人材としての市場価値はないという意味。仕事はストレスなくたんたんとこなせて当たり前なのです。

 

 

クラウドソーシング後の世界の変遷
かつて企業などのロゴデザインやウェブサイトの製作はおいしい仕事だった。200万円丸ごと請け負うようなケースを10年ほど前まではよくみた。発注側は、そういう仕事を引き受けてくれる業者をよく知らないので、口コミで紹介してもらったところに頼んでいる。料金も、業界の相場が分からないので、相手の言い値を受け入れるしかない。


ところが、クラウドソーシングで発注すると、デザインを勉強している大学生や、フリーランスの人材が、アイディアを何十も出してくる。クオリティはピンキリだが、数が多いので使えるものもたくさんある。その一つを選べば、かつて200万円だったものが、4,5万円で済んでしまう。


コストの暴落はそれだけではない。翻訳可能な業務であれば、4万円で引き受けた仕事を、さらにインドあたりの物価の安い国の労働者に二千円で棚下ろすこともできるようになった。
しかし、クラウドソーシングと、RPA(Robotic Process Automation)の組み合わせは、そのプロセスにかかる費用を限りなく0に近づけた。


これまでは高いギャラをもらっていたデザイナーたちも、4万円でいくらでもアイディアを出す学生や二千円で仕事を引き受ける諸外国の労働者に負ける。もとろん、その人にしか作れない本物のオリジナリティを待っているトップランナーは、依然と変わらない地位と報酬を保てているのも事実。


しかし、もどきのクリエーターははそうはいかない。これからは、一人のオリジナル以外は大きな価値がない。
もどき、と4万円で引き受けるクラウドソーシングの大群の勝負は、後者の圧勝に終わる可能性が高い。いわば、集合知解決による、数の暴力。


これをみてわかるように、システムによって、貧困が再生産されていくという特徴がある。
クラウドソーシングの大衆側は、ひとつあたりのコストを抑えて作っていくしかない。もしくはコンピュータを使ったデザインの自動化をする。人間を極力使わずデザインするためにプログラミングするしかない。この繰り返しが、並列化した人間をやがてはシステムで置き換えていく仕組みである。

 

 

●5つの問いを自らに投げかけよう。
・それによって誰が幸せになるのか。

・なぜいまその問題なのか、なぜ先人たちはほれがだきなかったか。

・過去の何を受け継いでそのアイディアに到達したのな。

・どこに行けばそれができるのか。

・実現のためのスキルはほかの人が到達しにくいものか。

 

 

●プロジェクトダニエル

スーダンの内戦によって両腕を失った14歳の少年ダニエルくんのために、世界のロボットハンド開発者や神経学者からなるチームが開発したのは、3Dプリンターとノートパソコン、そしてプラスチック部品を使って、100ドルという低価格で義手をつくるプロジェクト。

 

プロジェクトダニエルの例から学んでほしいのは、小さな問題を解決ふることが、クリエイティブな事業を生む、ということ。大人から、好きなことを見つけろ、やりたいことを探せ、といわれると、自分は何が好きなんだろう、と自分の内面に目を向ける人が多い。しかし、自分が解決したいと思う小さな問題を探せ、と言われたら、意識は外の世界に向かうはず。

 


●世界は人間が回している。
人間の世界を人間が回しているなんて、当たり前のことだと思うかもしれない。しかしじっさいには、これは特に日本人に多いのだが、世の中を人間が回していることを忘れているように見える人がいる。


たとえば、東日本大震災が起きたとき、電話やメールは一時的に使用不能に陥ったが、Twitterは無事だった。それによって首都圏では帰宅困難者たちが情報収集や連絡にTwitterを、活用できたわけ。これはTwitter社のその日の担当者が機転を利かせてセッティングを変え、日本で一気に情報量が増えてもシステムがパンクしないようにしたからといわれている。人間が世界を回していることよ好例。


ところが、世界がシステムだと思い込んでいる人は、それを人間のせいだとは考えない。うまく稼働すれば、システムの優秀さ、うまく稼働しなければシステムの不都合や故障、のようなものだと受け止めている人は多い。そして、ひいては自分も社会の主体であるにもかかわらず、社会のせい、にしていっている。

 

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「あなたの解決したい小さな問題を見つけてください。」

これは、研究にも仕事にも活用できる言葉だと思いました。そう考えると、工夫や、イノベーションもできるかもしれません。

 

 

 

番外編とはいえ、落合氏の書籍紹介は3度目でした。

「2030年の世界地図帳」を読んだ - ゼロから始めるほったらかし運用生活+

「10年後の仕事図鑑」を読んだ - ゼロから始めるほったらかし運用生活+