こんにちは あるいは こんばんは。
SBI証券で貸株を設定してみました。
●貸株を調べたきっかけ
「配当金のないウェルスナビの株を保有し続けたいど、どうしよう」
という疑問を持ち調べたところ、貸株サービスというものがあったので、貸株を設定してみました。オンライン上で貸株申込をクリックし、2日後には「特定口座の貸株対象銘柄すべて」が貸株設定になりました。
設定画面はこんな感じ
メリットとデメリットを確認せずに貸株を設定すると、特に税金面で大きく損をする場合があるので注意してください。
結論としては、
・「配当・優待優先」の貸株貸株設定を行い
※配当と優待がない銘柄は金利優先も可
※「株主権利自動取得サービス」は、必ず株主優待の付随条件に対応するわけではない
※貸株を申込むと、特定口座の貸株対象銘柄すべてに貸株設定されるので注意
・貸株金利計と他の雑所得の合計額が1年間20万円以下
となるようであれば、ほったらかしで貸株設定の恩恵をバランスよく受け取れそうです。
●貸株について
貸株の良い面だけ捉えると、証券会社に株式を貸し出すだけで「貸株金利」を得られるうえに、「株主優待」も「配当金」も得られる最高のサービス、と表現できそうです。
しかし、税金面や株主優待長期保有特典など、見えにくいマイナスな点も多くありますので、貸株のメリット・デメリットについてまとめます。
貸株のメリットなど
・証券会社に株を貸すことで金利が受け取れる。
※0.1%〜15%くらいの金利だが、ほとんどは0.1%
・設定により、金利を受け取りながら配当金や株主優待を受け取れる。
・売却したい時に売却できる。
貸株のデメリットなど
・貸株の初期設定は、特定口座の貸株対象銘柄すべてに貸株設定される。
・NISA口座は対象外
・証券会社が破綻した場合、株は戻ってこない
・金利は、雑所得または事業所得となり総合課税
・「配当・優待優先」設定にしない場合、配当金相当額を受け取れるが、配当金相当額は雑所得または事業所得のため二重課税される。
・「配当・優待優先」設定にしても、配当金を受け取れなく、配当金相当額になる場合がある
最後の項目に関しては、「配当優待優先コースにつきましては、東洋経済新報社から提供を受ける上記の情報に加え、配当情報ベンダーの過去配当実績をもとに返却いたします。」とSBI証券では説明していますので、条件によっては配当金が配当金相当額になってしまう場合があります。
これは株主優待長期保有特典に関しても同様で、貸株に関して、銘柄ごとの優待条件(優待取得に必要な基準日)は考慮していないため、株主名簿への同一株主番号による記載の持続性が途切れることもあり、保有期間に応じた株主優待の対象とならない可能性もあります。
私は税金関連が一番気になったので、雑所得について見ていきます。
貸株サービスで得た”貸株金利”や”配当金相当額”は、所得税の計算で雑所得または事業所得に区分されます。配当所得ではないため配当控除の対象にはならず、株の譲渡損と損益通算はできません。また、申告分離課税とは異なり、総合課税の損失については3年間の繰越控除は適用できません。
会社員や公務員などの給与所得者は、源泉徴収や年末調整を通じて所得税の納税が完了することが多く、基本的に納税者本人が確定申告をする必要はありません。しかし、給与収入が2,000万円を超える場合や給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える場合など一定のケースでは、確定申告の義務が生じるため申告の手続きが必要です。つまり、貸株関連でいうと、貸株金利や配当金相当額あるいは他の雑所得との合計が20万円を超えると、確定申告が必要になり、多くのケースで貸株を設定することでマイナスになるでしょう。
税金関連についてまとめると、年収が2,000万円以下の会社員などの場合、
・貸株の金利受取額
・貸株の配当金相当額
・他の雑所得
の合計額が20万円を超える場合、確定申告が必要であり、貸株することで二重課税や最大50%の高額税率となり、税金でかえって損をしてしまう可能性が高くなります。
●貸株を設定することでの実際の利益
話を冒頭に戻し、私の特定口座を見てみます。
カゴメとヤマハ発動機は、株主優待も配当金もあり、さらには株主優待長期保有特典もあるため、貸株設定していません。
JTは、株主優待がなくなるため、配当・優待優先設定をして貸株しました。
ウェルスナビは、現在配当金もないため、金利優先で貸株しました。この銘柄に関しては、今後配当金が出そうになった時に、設定変更する必要があります。面倒くささはありますが、金利優先とすることで権利日の金利が5倍になるという差が、実際にどのくらい現れるのか試してみたいと思います。
続いて特定口座のポートフォリオを見て、1年間でどのくらいの利益になるか見てみます。
私の特定口座の評価額は約100万円です。このうち2つの銘柄を貸株することで、
JT 2,600*100*0.1%=260円
ウェルスナビ 1,300*100*3.5%=4,500円
1年あたり4,760円のプラスになりそうです。
配当金のないウェルスナビに配当金が付いたと思えば、設定して良かったのかなと思います。
なお、ウェルスナビは、従来は投資家が自分自身で行っていた資産運用プロセスである、目標設定からポートフォリオの構築、発注・積立・再投資、リバランスおよび税金最適化まで、すべでのプロセスを自動化しており、高度な知識や手間なしに国際分散投資を行うことができるサービスを提供している会社です。
手数料が高いため私は利用していませんが、この銘柄については上場後すぐに購入した銘柄であり、今後の成長を祈っています。数値だけ見ると、営業収益が順調に増加し、ようやく営業利益が黒字になっているため、魅力的に見えます。
私は特定口座で日本株を購入する予定はなく、副業予定もないため、雑所得が20万円を超えることはなさそうなので、このままこの貸株設定を続けていこうと思います。しかし、貸株を設定することで税金が余計に高くなり損をする人もいれば、金利収入が少し増える人もいるため、申し込む前に確認したほうがよい制度だと思いました。
株主優待の長期保有について先にも述べましたが、(私はSBI証券しか設定していませんが)貸株を申込むと「特定口座の貸株対象銘柄すべてが自動的に貸株設定される」ので注意が必要です。私は貸株設定完了した2日後に気づき、カゴメとヤマハ発動機を貸株設定解除しました。証券会社などに問い合わせところ、おそらく権利確定日を挟まずすぐに設定解除すれば長期保有特典を受けられるとのことでしたが、蓋を開けてみないと分かりません。(株式事務代行をしている信託銀行・証券代行への問い合わせは考えていません。)
この点に関して、様々な証券会社や投資ブログを読みましたが、注意してくれているところは見つけられませんでした。
また、最近SBI証券は貸株サービスを拡張し、担保貸株サービスを始めました。あまりメリットが感じられないため、このままの貸株にしようと思います。
※引用 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000597.000007957.html
これから貸株を検討される方は、
・貸株を申込むと、特定口座の貸株対象銘柄すべてが一度貸株設定になる
※SBI証券の場合しか確認していません
・雑所得による税金
の3点について、特に確認してから設定されると良いと思います。