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TMFを買った

こんにちは あるいは こんばんは。

 


近頃は株式との関連が大きい政策金利の勉強をしています。
そこで、今回は2022年にメインで購入した商品、

 デイリー20年超米国債ブル3倍ETF

 Direxion Daily 20+ Year Treasury Bull 3X

 ティッカーシンボル ” TMF ”

について紹介したいと思います。

 

 

これは運用というよりも投機的な、およそ2年ほどの中期投資を目的としています。TMF投資のストーリーは、米国のインフレ抑制が予測できそうになったため米国長期国債レバレッジETFを早めに購入し、2023年夏頃に米国政策金利の上昇が停止し、2023年冬または2024年春頃に利下げに転じることで米国長期国債の価格が上昇し、売却する、とイメージしています。

 

 

TMFを買い付けした理由を説明するために、政策金利、債券、米国債ETFレバレッジ商品、TMFの売買などについて勉強メモを残します。誤りや表現の不備などありましたら、優しくご指摘いただけると嬉しいです。

 

 


政策金利とは

株、ETF投資信託を購入時、企業の業績などよりも政策金利が重要だと言われます。

 

この政策金利とは、中央銀行(日本では日本銀行)が設定する誘導目標金利のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を及ぼします。日本の金融政策は、伝統的には、短期金利を操作し、それが長期金利にも波及することを通じて、実体経済に影響を及ぼしてきました。

 

景気が良い時は利上げによって景気の過熱やインフレを抑制し、逆に景気が悪い時は利下げによって市場金利を低めに誘導し、お金が個人消費や設備投資などに回りやすくします。政策金利を上げると、短期金利が上昇し、長期金利が上昇・債券価格が下落・株価が下落・通貨高になる傾向があります。逆に政策金利を下げると、短期金利が下落し、長期金利が下落・債券価格が上昇・通貨安になりやすいです。

 

 

米国の政策金利は米国連邦準備委員会(Federal Reserve System:FRB)が決めています。投資の世界では、

 ”Don't fight the FEDFEDには逆らうな)”

という相場格言があります。お金の流れを司る金融当局の政策と反対の投資行動をとっても得はないので、FRBの政策方針には素直に従った方がよい、という意味になります。

 

 

債券に投資しようと思った理由は、この

 ”政策金利が下がると、債券価格が上昇しやすい”

という点を根拠にしています。

 

 

●米国政策金利の今後

2023年12月14日、米国連邦準備制度理事会FRB)は連邦公開市場委員会FOMC)を開催し、政策金利の見通しを発表しました。

※引用 Federal Reserve Board - News & Events

 

FRBは、政策金利であるFF金利の誘導目標3.75~4.0%を0.5ポイント引き上げ4.25~4.5%とすることを決定し、2023年末のFF金利の見通しは、前回の4.6%から5.1%へと改定しました。引き下げが始まるのは2024年からで、同年末のFF金利は4.1%、2025年末は3.1%、最終的には2.5%以上の水準が長期間続くと予想しています。

 

 

市場参加者の予想は、今年の3月で利上げを停止し、今年の11月から利下げに転じると予想している割合が一番多いようです。

※引用 CME FedWatch Tool - CME Group

 

 

そのため、(上図は予想でしかありませんが、利上げの停止及び利下げが予定通りだとすると)今年の3月から11月が債券の買い時であり、2024年以降にFF金利が2.5%に近づいた時が売り時になるかもしれません。

 

 


●債券とは

※この項目は金融庁の資料をまとめました。

引用 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/disclose_wg/siryou/20160219/04.pdf

 

債券とは、国や地方公共団体、会社などが資金を借り入れるために資金の返済日や利子の条件を明確にした借用証書の ようなものです。

 

債券投資の長所

 ・満期まで保有すると額面金額(元本またはあらかじめ約束した金額)が受け取れる 

 ・一定の利子が 受け取れる

 ・途中で売却可能

 

債券投資の短所

 ・信用リスク  購入した債券の発行体が 経営破たんする 可能性がある

        債務不履行リスク (デフォルトリスク)ともいう

 ・価格変動リスク  途中で売却する場合、 価格が値下がり する可能性がある 

 

 

よく言われる債券投資のポイントは、格付け(AAA、AA、A、、、Cなど)です。利回りのみならず、信用度も合わせて確認した上で投資をすることが大切です。

 

債券の価格は、原則的に市場金利との関連で日々変動しています。債券の特徴として、金利が上昇している時は債券の価格は下がり、逆に金利が低下している時は債券の価格が上がります。

 

 

●債券価格と金利の関係

債券価格と金利はシーソーの関係にあります。金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格が上がります。

 

例として、金利4%の債券を100万円購入すると1年で4万円を受け取ることができます。これが、金利6%に上がるとなると、金利6%の債券を購入した方が1年で6万円受け取ることができるため、金利4%の債券は魅力が減り価格が下落します。

金利が2%に下がった場合、金利2%の債券よりも、金利4%の債権の方が受け取れる金額が多いため、金利4%の債券の価格が上昇します。

 

下図の緑線が米国10年債利回り、オレンジ線が債券価格です。きれいな逆相関になっているのが視覚的に確認できます。

※引用 US 10-year Treasury Note Price vs. Yield | U.S. Treasury Bond | Collection | MacroMicro

 

 

40年間、米国の金利と債券利回りを比較したものもありました。

濃い青色が政策金利、水色が10年国債利回りです。

※引用 Chart: The fed funds rate vs. 10-year Treasuries | Columbia Threadneedle Blog

 

 

●債券投資

投資において、

 ”投資元本を減らさないようにしたい”

と思う方は多いと思います。そういった場合に債券への投資が推奨されることがあります。例えば日本国債への投資は、新規発行された個人向け日本国債を中途解約せずに満期まで保有すると、定期的な金利(クーポン)収入に加え、投資した元本は全額戻ってきます。

また、外国債券の代表格であるアメリカドル建ての米国国債(利付債)を新規発行から満期まで保有した場合、アメリカドルでの投資元本は保全され、保有期間中には定期的に金利(クーポン)収入を見込めます。

ただし、すでに発行されている債券(既発債)を取引しようと思うと、店頭(相対)取引が一般的で、実際の取引価格が投資家からは見えにくい側面があります。

 

いくつかの運用機関は、より安定したパフォーマンスを出すために、債券と株式の組合せで運用することを推奨しています。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式をおおよそ25%ずつのバランスで運用しています。

※引用 2022年度の運用状況|年金積立金管理運用独立行政法人

 

少し過去のデータになりますが、2020年3月末時点のGPIFの債券保有TOP5はこちらです。

 

 

●債券か債券ETF

債券ETFの場合、連動対象の「債券指数」に組み入れられている債券が、償還前に指数の組入条件に適した新たな債券に定期的に入れ替わっています。そのため、債券ETFには個別債券のような満期償還はなく、評価額は変動します。

 

米国債ETFを購入する上で、金利のリスク、為替のリスク、カントリー・リスクなどを除き、債券ETFの長所短所をまとめてみました。

 

債券ETFの長所

 ・いつでも購入可能

 ・債券型投資信託より手数料が安い

 ・分散投資可能

 

債券ETFの短所

 ・株式ほどのリターンを得にくい

 ・信託報酬などの手数料がかかる

 

 

今現在、投資する上で安定した利回り4%ほどで良いならば米国債を購入し、リスクを取りそれ以上を目指したい場合は、ETFレバレッジETFを選択することになります。

 

 

 

米国債ETFの例

日本円で購入可能な米国債ETFはありますが、ここではドル建てでの購入のみを考えているため(私自身がドルでの資産を多くしたいため)、iシェアーズ、上場インデックスファンド、NEXT FUNDSなどの商品は除外します。

 


米国債ETFの商品例として、TLT、EDV、TMF、AGG、HYG、BNDなどがあります。TMFはTLTの3倍の動きをするレバレッジ商品です。6つの商品を比較してみましょう。

 

まずは5年間の各チャートです。TMFの波の荒さが分かります。

※引用 iShares 20+ Year Treasury Bond ETF (TLT) Stock Price Today, Quote & News | Seeking Alpha

 

次に各商品の概要です。この中では、信託報酬の手数料が一番気になるところです。こちらもTMFの1.06%という高い手数料が目立ちますが、レバレッジ商品であることを考えると安いほうかと思います。

※引用 海外ETF情報|国内/海外ETF[モーニングスター] (2022/11時点のデータ)

 

債券ETF投資において、本来は、手数料の信託報酬のみならず、残存期間もチェックしたいところです。残存期間が長いほうが値動きが大きいためです。チャート図を見てもわかるように、残存期間20年のTLTよりも、残存期間20−30年のEDVの方がプラス・マイナスが大きいです。

 

 

レバレッジETFとは

TMFの3倍レバレッジは、対象とする指数の株価変動の3倍となるよう運用会社が毎日リバランスします。

レバレッジETFのリスクとして、減価、金利、強制決済があります。

 

・リスク1 レバレッジ商品の減価

減価とは、上下するような株式市場において価値が減っていくことを示します。

 

A商品とその3倍レバレッジの1年毎年間の推移を例にします。
 A商品     3000→ プラス10%で3300→ マイナス10%で2970→ プラス10%で3267 →マイナス9.2%で3000
 レバレッジ3倍 3000→ プラス30%で3900→ マイナス30%で2730→ プラス30%で3549 →マイナス27.6%で2569

 

株価が上下しているとき、特に下落時のマイナスが大きくなり、A商品は5年で元値に戻ったものが、レバレッジ商品では大きくマイナスになっているのが減価の仕組みです。つまり、レバレッジ商品は長期投資に向かなく、複利効果がマイナスに現れる場合があります。一般的な投資信託ETFの場合、複利の効果はプラスに働きますが、レバレッジ商品の場合は株価が上下するボックスレンジにおいて減価のリスクがあります。逆に株価が単調上昇した場合、レバレッジ商品は大きなリターンを得ることができます。

 

・リスク2 レバレッジ商品と金利

レバレッジETF商品の信託報酬の運用コストには、先物取引をする性質上、金利も大きく影響します。そのため、金利が上昇すると運用コストも大きくなります。

 

・リスク3 レバレッジ商品の強制決済

レバレッジ商品を販売している会社が十分に資産を集めることができなかった場合、上場廃止することで強制決済することがあります。または、レバレッジの倍率を下げることもあります。こういった商品は含み損を抱えている可能性が高いため、強制決済も一つのリスクとなります。

 

 

 

レバレッジETFは、あくまでも1日の値動きについて3倍になるようにしているもので、期間が長くなると乖離していくため、投資期間が長くなればなるほど指標と乖離していきます。また、減価の説明でも記載しましたが、レンジ相場になると指標に比べてパフォーマンスが悪くなります。

 

レバレッジ商品の長期保有についてもう少し見てみると、先程紹介したTLTとTMFを5年間保有した場合の、価格とトータルリターンの比較を見ると分かります。

TLTとTMFの価格比較

TLTとTMFのトータルリターン比較

 

5年間で価格の値ではレバレッジの3倍分、TMFがマイナスになっています。しかし、図で見てもわかりにくいですが数値を見ると、トータルリターンではマイナスの差がさらに大きくなっていることが分かると思います。

 

 


●TMFの買い方と売り方
TMFはレバレッジ商品であるため長期保有に向かない商品だと思っています。

TMFの商品の買い時は債券と同様に金利が下がる時、売り時は金利が上昇する時となります。今回、少し早めの2022年10月からTMFを購入してみました。

 

 

TMFを保有している上で気になるマイナス点は、インフレが止まらないなどといった何かしらの要因により、FRBによる利上げが長期間続くことです。そういった場合、すぐに売却するか、はたまた利下げが見えていればそのまま保有し続けようかと思っています。約50年間という長期間の米国政策金利を見た場合、現在の金利は低く見えてしまいます。

引用 Federal Funds Effective Rate (FEDFUNDS) | FRED | St. Louis Fed

 

 

なにはともあれTMFへの投資は今後の楽しみの一つにしたいと思います。