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「敗者のゲーム」を読んだ

 質問 あなたが投資するなら、どちらにしますか?

 

 A 大幅に値上がりし何年間も高値圏にある株式

 

 B 大幅に値下がりし何年間も低位にとどまっている株式

 

 

 

こんな質問のあった書籍「敗者のゲーム」を読みました。

 著者名:チャールズ・エリス【著】/鹿毛雄二【訳】

 日経BP(2019/01発売)

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0516981

 

冒頭の質問の回答は、以下でした。

 

回答Aを選んだなら、あなたはこのテストを行ったプロのファンドマネージャー90%と同じである。

ほとんどのプロと聞いて安心?とんでもない。あなたが株の長期的な売り手でない限り、Aを選べばあなたのプラスはない。

あなたが買う株の価格が低ければ低いほど、あなたの投資1000ドル当たりの株数は多くなり、それだけ配当も多くなる。したがって、長期的に正しい回答は意外なことにBである。」

 

 

 

エリス氏は、イェール大学卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールで最優秀のMBAニューヨーク大学Ph.D.取得。ロックフェラー基金、ドナルドソン・ラフキン・ジェンレットを経て、72年グリニッジ・アソシエイツを設立。2001年6月に代表パートナーを退任するまでの間、イェール大学財団基金投資委員会委員長、全米公認証券アナリスト協会会長、バンガード取締役などを歴任。現在、ホワイトヘッド財団理事長。

 

 

この書籍を一言でまとめると、

「インデックスファンド(株式)は非常にすばらしい運用の選択」

となります。

 

 

 

気になった箇所を紹介します。

 

 

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イェール大学財団基金運用責任者のデイビッド・スウェンセンのコメント

 

賢明な投資家は自ら判断する。相手の能力を評価できないのに、どうして適切な専門家を選ぶことができるのか。皮肉なことに、投資サービス専門家の能力を判断する情報を集めているうちに、その人はポートフォリオをよく理解し、自ら判断できるようになっていく。

 

 

インデックスファンドは、過去10年間、投信全体の80%を上回る成績をあげている。個人投資家の現実の成績は、投信全体よりさらに悪い。なぜなら、パフォーマンスデータは、消滅した多数のファンドのデータを含まないから実際より高めにでる(生存者バイアス)。また、パフォーマンスデータは課税上のメリットを考慮していない。に、投信を購入する際に証券会社に支払う手数料の影響がある。

 

 

 

バンガードとTIAA-CREFは、良質のファンドを最低限の手数料で提供している。実際、両者は収益性を切り離すことで、受託責任と収益追求の二律背反から解放され、投資家の利益に奉仕する仕組みが作られている。

 

 

銘柄選択に目を奪われず、資産配分戦略に集中するべき。

イェール大学のロジャー・イボットソン教授の研究によると、投資リターンの90%以上は資産配分からもたらされ、銘柄選択やマーケットタイミングの効果は副次的なものである。

 

 

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本文

 

 

運用は敗者のゲームになった。

機関投資家の大多数が市場平均やり高い成果をあげられる、という前提は正しくない。なぜなら機関投資家そのものが市場なのだから、機関投資家全体としては、自分自身に打ち勝つことはできない。機関投資家は、取引先取引の95%を占める。運用機関の数が膨大で、能力も高く、顧客のために質の高いサービスを提供するからこそ、資産運用が敗者のゲームとなった。

 

 

新しいルールのもとでカギを握るのは、コストである。

 

 

カリフォルニア大学デービス校の金融論の教授であったテランス・オディーンは、なせ投資家は売買をしすぎるのか?、という論文の中で、15年間に大手証券会社を通して個人投資家ざ行った10万件近い取引を分析している。個人投資家の購入した銘柄は購入後1年間で市場平均を2.7%下回る一方、売却した銘柄は売却後に市場平均を0.5%以上上回ったという。

ラスベガスもマカオモナコもいつも人で溢れている。これをみても分かるように、すべての人が合理的だもは言えない。

 

 

投資の基本原則まとめ。

1 投資の最大の課題は、株式、債権、不動産などへの長期的な資産配分の決定である。

2 長期的な資産配分の決定に際し考慮すべき点は、成長性、安全性、毎年の収入なもだが、最も大事なのは、いつ資金が必要になるか、という点である。

3 資産ごとにも、資産の種類ごとにも幅広く分散すること。暴落は突然起きる。

4 決めたことを一貫して忍耐強く実行する。上昇相場は最も悲観的なときに起こる。一喜一憂した時の損失は大きい。

 

 

インデックスファンドの優れたメリット

・相対的な高いリターン。長期的にみて、全体の80%のアクティブファンドマネージャーは市場平均に勝てず、どのマネージャーがトップ20%かを事前に見つけるのは、ほとんど不可能だ。

・低コスト。運用報酬と管理費用は、年率で0.1%1年間でポートフォリオ1割程度しか売買されないため、売買手数料が低い(アクティブファンドでは、毎年ポートフォリオ全体が入れ替わる)。さらにマーケットインパク(自ら買いに出たことによる値上がり、売りによる値下がり効果)も低い。毎年の実現益も少ないから、税金も少なくてすむ。

・便利。あまり運用実績を気にしなくてよい。

・不安や後悔を感じなくてすむ。

・運用目的、長期投資方針といった最重要課題にだけ専念できる

 

 

ほとんどの国においてほとんどの投資家が、ポートフォリオの大部分を自国証券に投資するという「ホームバイアス」が見られる。この自国通貨へ極端に集中投資することは、かなりリスキーである。

 

 

あらゆる投資家には一つの恐るべき、そしてあまりにも過小評価されている共通の敵がいる。インフレーションという敵だ。インフレの脅威は、ほとんどの投資家、特に引退後の老齢層に打撃を与える。じわじわと浸食していくインフレの力こそが本当に恐ろしい。一般的に許容されている年率2%のインフレが続けば、売買力は36年で半減する。年率3%のインフレが続けば、購買力は24年以内に半減する。

 

 

ヘッジファンド

大きく分けて2種類ある。一つは天才的なプロが運用するヘッジファンドであるが、新規の投資家を募集していない。もう一つのファンドマネージャーは、プロとまったく同じことを語るが、2%プラス実績の20%という高額報酬を得ることにしか興味のない連中である。

 

 

ベンチャーキャピタル

アップル、グーグル、いーべいあといった超成長銘柄を発掘して、投資が100倍になるという世界は、ロマンに満ち溢れている。

ハーバード大学のジョシュ・ラーナー教授は、次のように説明している。よいファンドに出会わなければ、やる意味はない。

優れた実績をあげたファンドが勝ち続けるのも不思議ではない。唯一の問題は、最高のヘッジファンド同様、最高のベンチャーキャピタルファンドは、新規投資家には閉ざされている。

 

 

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様々な書籍に投機ではなく投資の理論や考え方が書かれています。それらはこの本にすべて集約されていると思いました。エリスの書籍の面白い点は、様々な書籍や考え方を例として紹介する点です。彼の本の良さは、ブログでは伝えきれず、実際に本を手に取ってみないと分かりません。

 

考え方としては、一番興味深かい書籍でした。